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 釣行記 6月13日 

 6月13日ケアンズからセイシアへ

○ 6月14日セイシア沿岸水域 −
   ジャルディンリバー沖合いからクラブアイランド

○ 6月15日ジャーキージャーキーエスチュアリー

○ 6月16日ジャルディンリバー

○ 6月17日オーストラリア大陸最北端




■ 
ケアンズからセイシアへ ■

ヨーク半島最先端に位置する最果ての地「セイシア」、いや、オーストラリア大陸最北の地と説明した方がわかりやすいかもしれない。覚えやすくてなんとなく響きのいい、セイシアという地名を始めて知ったのは昨年の今ごろである。ケアンズでフィッシング・エージェントを営む友人のレスは、セイシアのことをフィッシング・ヘヴン(天国)だと言っていた。GT、ツナ、クイーンフィッシュ、バラマンディ、バラクーダ、コビア、エンペラー、などなど、 ライトタックルで挑むには相当に手強い相手ばかりだと。両手を大きく広げてこんなデカイやつを釣るのだと、メートルオーバーの巨魚とのやりとりを、手振り、身振り、写真を交えて一生懸命、語ってくれた。

想像と期待を膨らませて一年が過ぎ、今こうしてレスと一緒にセイシアまで釣行するなんて考えてもみなかった。ケアンズのホテルロビーで一年前のそんなことに思いを巡らせていると、ワイフのパムと一緒にレスが現れた。レスとは一年ぶりの再開、パムとは初めてである。パムが運転するニッサン・サファリでケアンズ市内のタックルショップに立ち寄り、空港まで送ってもらうことになっている。タックルショップで時間を取りすぎたため、空港へ到着したのは出発の30分前。手早くチェックインを済ませ、約30シーターのプロペラ機、フライト・ウエスト・エアラインの座席へと滑り込む。機内には乗客はまばら、ゆったりとくつろぐことが出来そうだ。

12時20分定刻通りケアンズを離陸、ヨーク半島先端のバマガ空港までは、このプロペラ機で1時間45分である。座席の右側には世界最大の珊瑚礁群グレート・バリア・リーフが、左側には世界最古の熱帯雨林の山並みが眼下に続く、どちらも世界自然遺産に登録されている。ここクィーンズランド北部は熱帯に属するので一般に言う冬はない。一年中で一番涼しい今の季節(6〜8月頃)のことをクーラーマンス、または、雨がほとんど降らないのでドライシーズンともいう。このドライシーズンには南東からの季節風の影響が強く、沿岸部の水域は随分と濁っていることが多い。でもこうして上空から沖合いのグレート・バリア・リーフを眺めると、その規模、その美しさに圧倒される。小型プロペラ機はジェットよりも低い高度を飛ぶおかげで、リーフの形状や海底までよく見わたせる。レスは昨日までの家族旅行の疲れが出たのか、反対側の座席で眠っている。

ケアンズを発って1時間半くらいは、ほぼ海岸線に沿って飛行する。その後、高度を下げながらヨーク半島の上空を通過しバマガへと向かう。眼下の景色はグレート・バリア・リーフの透明なブルーから、緑一色の熱帯のジャングルへと様相を一変する。緑の絨毯の中を、赤茶けた未舗装の道路が一本、大陸最北端へ向かって伸びている。これが半島先端と、クックタウンそしてケアンズまでを結ぶ唯一の道だろう。遠くにまた海が見えてきた、真っ青な空と交わる所には、大小さまざまな島々が見え隠れする。パプア・ニューギニアとオーストラリア大陸の間に横たわる、トレース・ストレイト諸島だ。

フライト・ウエスト・エアライン
グレート・バリア・リーフ
ジャーキージャーキ
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■ バマガ空港到着 ■

飛行機は高度を更に下げ、眼下には広大な入り江が目前に迫る。反対側の座席で眠っていたレスがいつの間にか目を覚まし、ジャーキージャーキー・エスチュアリーだと叫ぶ。あそこでも釣りをするんだと、大きなバラマンディが釣れるぞと両手を広げて見せる。木々の間からも赤茶けた大地がはっきりと見てとれるが、乾季で雨が少ないせいか、大地も森の木々もいやに埃っぽく写る。あと数分で着陸するはずなのに、街や村はおろか人口の建造物が全く視界に入らない。いったい、どんな所なんだろうか? その直後、いきなり前方のジャングルが開け、赤い大地の上に一本の滑走路が現れた。14時5分、定刻どおりにプロペラ機は滑走路へと滑り込んだ。

飛行機から降りると、ケアンズよりは幾分か暑く感じられた。そして日差しもきついが、湿度は低く不快さはほとんどない。強い日差しを避けいったん空港の建物に入る、といっても粗末な平屋の小屋が一つあるだけである。中には荷物の重量を量るための大きな年代物の秤が一つ、一坪程度のチェックイン・カウンターらしきスペース、あとはベンチとトイレがあるだけで、時計もなければ公衆電話、キオスクなど一般に空港でイメージする物は何もない。

この小さな小屋は日に一往復の便を迎える人、見送る人達で活気づいていた。出迎えの人々に交じって、小柄なすらっとした1人の白人女性がいる。レスがラッチェルだと紹介してくれた、我々の宿泊先、セイシア・キャンプ&リゾートのマネージャーである。彼女は日本語で挨拶をする、そして日本語で語りかけてくれた。驚いたことにこの辺境の地で、日本語を上手に話すオーストラリア人女性に出会うなんて。以前、日本に住んでいた事があり、エアーズロックでは日本語ガイドをしていたとのこと。しかしここには日本人が滅多に来ないし、日本語を話すのは半年振りだそうで随分と忘れてしまったとか。ラッチェルが運転する新車のトヨタ・ランドクルーザーで、セイシアの宿泊先へと向かう。いったんチェックインを済ませた後、この地区を車で案内してくれるという。バマガ空港からセイシアまでは車で15分くらい、この間の道路は舗装されている。              TOP↑

バマガ・エアポート
セイシアへの道路
地域唯一のスーパー
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■ 大陸最北端の暮らし ■

ヨーク半島先端のこの地域は、バマガ、インジノー、ウマジコ、ニューマプーン、セイシア、これら5つの村(コミュニティーと呼ばれる)からなる。一番大きい村は空港のあるバマガで人口2000人を超える。他はそれぞれ100−300人くらい、全部合せても3000人ちょっとだ。住民の99%は先住民のアボリジニそして、トレース・ストレイト諸島から渡ってきた、パプア・ニューギニア系の人達である。残り1%未満がオーストラリア各地からやってきた一般にいう白人だ。

ヨーク半島先端部のこの土地は、もともとは先住民であるアボリジニの土地であり、また地理的、人種的にトレース・ストレイト諸島を経て、パプア・ニューギニアとの繋がりも深いようだ。約半世紀前に、パプア・ニューギニアに隣接するオーストラリア領、サイバイ島を大きな津波が襲って島を壊滅状態にした。大半の島民は島を捨てここヨーク半島の先端部へ移住して来たという。そして内陸部のバマガよりも、彼らは故郷を望むことが出来る、海に面したセイシアを新天地に選んだようだ。

オーストラリア人(ここでいうオーストラリア人とは先住民以外のオーストラリア国籍の人々)は特別な許可や仕事がない限り、この土地に住むことは法律上許されないという。特別な許可とは、コミュニティーが認める職業に携わっていなければということで、フィッシングガイドやエンジニア、そしてコミュニティが運営する宿泊施設などである。この地域での産業といえば、フィッシングを含むツーリズムであろう。オーストラリア大陸最北端という地理的条件は、またここに至る1000キロ近い未舗装の道路は、オージー達を惹きつける。ドライシーズンには陸路、4WDでここを訪れる人が絶えない。ここへと辿りつく行程自体が、彼らにとって一種の憧れでもあり、アドベンチャーでもあるようだ。次いでフィッシング、海外からのアングラーも含めて、この豊かな水域は多くのアングラーを魅了する。

ビリヤードを楽しむ人々
元気な子供達
元気な子供達

このような説明を、ラッチェルとレスから聞きながら、約2時間かけて5つの村を一回りする。土地の人々は皆、気さくでフレンドリーだ。子供達も明るく元気がいい。子供達から英語で話しかけられた時、あらためてここはオーストラリアなんだと実感する。さもなければ、パプアニューギニアの奥地にでもいるようだ。住宅のほとんどが、高床式の住居で洒落たきれいな家も見かける。雨季の洪水と湿気を避けるために、このように床を高く上げているのだという。

オーストラリア政府、クィーンズランド州政府から、先住民族に対する経済的な補助もあるらしい、また彼らの伝統、 生活様式、食文化などを継承するため、法律によりいろんな配慮がなされ、保護されている。例えばウミガメの卵や、ジュゴンなどを捕獲して食料とすることや、ワニを捕獲して皮を収入源とする、など他では厳しく制限されていることも、つい最近まで先住民に限って認められてきたようだ(現在はどうなのかわからない)。我々日本人がブリスベンやケアンズなど、他のオーストラリアの街に滞在後この地にやって来ると、イメージするオーストラリアとの格差に少なからず驚くであろう。と同時にオーストラリアの近代性、合理性も垣間見られ実に興味深い地域だと思う。

元気な子供達
ヴィレッジの教会
鉄の教会
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■ セイシア・キャンプ&リゾート ■

ここでの宿泊施設は、セイシア・キャンプ&リゾートと、新しくオープンしたバマガ・モーテル、この2件だけである(キャンプ場は他にいくつかある)。我々の宿泊するセイシア・キャンプ&リゾートは、名前の通りキャンプ場に併設されており、8畳ほどの広さのツインが15ルームほど、一棟ごとに独立した2階建てのロッジが5〜6棟ある。海に面した最高のロケーションを有し、この地域では最大の宿泊施設である。ツインルームは、シャワー、トイレ、キッチン、洗濯スペースなどは共有となっている。ロッジは最大8名程度がゆったりと宿泊可能で、それぞれにシャワー、トイレ、洗濯機、キッチン、冷蔵庫、ベランダが付いている。全ての施設は清潔で心地よく過ごすことができる。ただし、どの部屋にもテレビと電話はない。レセプション棟にはレストランとキオスクがある。このキオスクはセイシアでは唯一の店であり、パンやミルク、冷凍食品から野菜やスナックまで一通りの物は揃っており、地元の人達もよく利用する。

注意しなければならないのはお酒、セイシアではアルコール類の販売がコミュニティにより禁止されている。キオスクにも売っていないし、レストランのメニューにもない。しかしよそから持ち込んで飲むぶんには問題ない。フィッシングの後には必ずビールをと言う人も多いと思う。空港からの途中にバマガの酒屋に寄って貰い、滞在中飲む分を調達するのを忘れてはならない。1日の締めくくりがなければ、フィッシングの楽しみも半減するだろう。我々も滞在中の分、ロング缶40本ほどをバマガで調達した。

セイシア・ジェティ
セイシア・キャンプ&リゾート
ロッジ

夕食までの時間、レスとともにロッドを持ってビーチへ出た。ロッジの前から桟橋(ジェティ)までの約300メートルを8センチほどのポッパーで探ってみる。1〜2回、小型トレバリーらしきチェイスはあったが、ヒットには結びつかずレスも私もボウズに終わった。潮がかなり引いていたが、満ち潮であればもっと沢山のチェイスがあったかもしれない。もう帰ろうかという時に、短パンに半袖の襟付きシャツ、素足にハットという出で立ちの男性がやってきて、何か話かけてくる。私が使っていたロッドを手に取り、Good Rodと言う。最初は誰かわからずに戸惑ってしまったが、明日から我々のガイドをしてくれるギャレイであった。自己紹介して明日からよろしくと握手を交わす。年齢は50代後半に見える、オーストラリア人の中では比較的小柄で、話し方から温厚で知的な性格が伝わってくる。フィッシングガイド歴20年以上、セイシアでもベテラン中のベテランガイドだ。ギャレイは3日間の予定について説明を始める。

セイシアは大きく分けて3つのフィッシングエリアに分けられるとギャレイは言う。まず目の前に広がる沿岸から外洋にかけて、もうひとつは半島東側のジャーキージャーキーエスチュアリー、そして半島西側に注ぐジャルディンリバーだ。初めてのHAMAには一通り経験してもらいたいから、 まず1日目は沿岸から外洋域を攻める、天候が許せばサーズディアイランド近海まで足を伸ばして、ジャイアントトレバリー、ロングテイルツナ、クィーンフィッシュなど、外洋のメートルオーバーをメインターゲットとする。2日目は一風変わった名前の、ジャーキージャーキーエスチュアリーだ、マングローブラインにキャストを繰り返し、バラマンディ、マングローブジャック、サーモンなどを狙う。3日目はジャルディンリバー、河口部のサンドエッジでは大型クィーンフィッシュの実績が高い、また河口部の浅瀬ではサイトフィッシングも可能である。河川内は汽水域、から淡水域までルアーを投げ、バラマンディを主体に狙う。おおまかではあるが、このようなプランで合意し、明朝7時15分の再開を約束してギャレイと別れた。

ロッジ
ツイン
セイシアリゾートのディナー

セイシア・リゾートのレストランは毎晩、日替わりのメニューに加え、魚、肉、鶏、豊富とはいえないが一通り揃っている。前菜、メイン、デザート、ガーリックパンが付いて、おおよそ1500円ほど。ボリュームも充分であるが、味、内容ともに申し分ない。特筆すべきはスパニッシュ・マッカレル(サワラ)のグリル、オーストラリアで食べた中ではダントツに一番、こんなに美味しい魚料理は日本でも滅多にお目にかかれない。レスが持ち込んだオーストラリア産の白ワインともぴったりだ。セイシアで唯一のレストランは、地元の人達にとっても社交の場となっており、特別な日にはここで夕食を楽しんでいるようだ。そして毎晩顔を合せたのは15〜16名のオーストラリア人の団体客、全員60歳以上、平均年齢は70を越える高齢者である。オーストラリア各地からケアンズに集合して、特殊な4WDの小型バスで5日間かけて未舗装の道をここまでやって来る。何故かオーストラリアの高齢者にこのパッケージツアーは大人気のようだ。途中で宿泊した簡易宿舎のひどさや、バスで川を渡る時のスタックの模様など、若い添乗員を囲んで毎晩盛り上がっていた。

夕食からロッジへの帰りは外灯がないので、真っ暗な中を歩くことになる。ふと夜空を見上げるとミルキーウェイが横たわっていた。一見、雲のように見えるが、雲ではなく全てが星、おびただしい数の星が集まり雲のように帯となっている。聞こえるのは、波の音と、椰子の葉を揺らす風の音だけ。さあ明日からどんな釣りが始まるのだろうか。

オージーツアーの4WD
セイシアからの眺め
セイシアリゾートのスタッフ
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 6月13日ケアンズからセイシアへ
 6月14日セイシア沿岸水域 - ジャルディンリバー沖合いからクラブアイランド
 6月15日ジャーキージャーキーエスチュアリー
○ 6月16日ジャルディンリバー
○ 6月17日オーストラリア大陸最北端

 

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